Harmony入会のきっかけ編(家族との別れ17)
前回からの続き
子供たちに、パパはもう帰る事を告げた。
一年も会っていないのだから子供たちにも完全に「お客さん」のような感覚を持たれているかもしれない。寂しいがもうどうすることもできない。子供への思いを残しつつ妻の家を後にした。
空港までは妻と妻の母が送ってくれる。空港までどんな話をしたのかは覚えていない。依然として動揺をしていたのだろう。ただ平静を保とうとしていた事は覚えている。途中でタクシーからバスに乗り換えたはずなのにその記憶も無い。
空港に到着し少し時間が有ったので空港の椅子に座ったが、一緒に椅子に座ったことは記憶に有るが会話の記憶が無い、多分気を紛らわすようなたわいもない話だったのだろう、子供の事はもう話せない、「返してくれ」しか思いつかないから、そんな気がする。
しかし、次の事はよく覚えている。
時間になりいよいよ妻とも別れる時が来た、荷物検査のレーンに荷物を乗せ、ここで妻と離れるという時に私が、妻の名前を言い「ありがとう○○○、今まで幸せだった。」と言ってあげた。
彼女への優しさのつもりだった、すると自然と涙が出た。妻は私の涙を手でぬぐい、長い時間、キスとハグをした、長い時間だった。するとロシアの空港職員のおばさんが何かロシア語で何かしゃべり始めた、それには妻の母が対応していた。
その様子から多分こんな会話だと思う。
空港職員のおばさんが、「気持ちはわかるけど早くしてよ、次の人が待っているじゃない!!」そして妻の母が笑いながら「ごめんなさい、もうちょっと待ってあげて!!」多分こんな感じの会話だと思う。
私は妻との別れで胸一杯だったが。
妻のハグとキスそして、なぜか急かす空港職員のおばさんの事はよく覚えている。
そして、荷物を受け取り、ゲートを超えた。
この家族は、ついに終わってしまった。
次回へ続く。